『女神転生』(めがみてんせい)は、西谷史による小説、および、そこから派生したコンピュータゲームシリーズ。略して『メガテン』、または『DDS』(Digital Devil Story)と呼ばれる。この記事では、アトラスが開発したゲームシリーズについて記述する。
開発経緯[]
原作は1986年に発表された、西谷史による伝奇SF小説『デジタル・デビル・ストーリー』(徳間書店・アニメージュ文庫)の第一作『女神転生』である。当時、徳間書店は小説を軸にして多方面に展開するメディアミックス戦略を推進しており、この計画の一環としてまず翌年1987年、オリジナルビデオアニメ『デジタル・デビル物語 女神転生』が発売。続けて日本テレネットよりパソコン用アクションゲーム『デジタル・デビル物語 女神転生』が発売された。そして本シリーズの源流である「デジタル・デビル物語 女神転生」が同年ナムコ(現・バンダイナムコゲームス)からファミコン用RPGとして発売された。
その後、RPG版は原作小説とは無関係に独自にシリーズ化され、様々なゲーム機で続編・外伝が作られた。第一作と第二作はアトラスが開発、ナムコが販売した。1992年にスーパーファミコンで発表された第三作『真・女神転生』以降は開発・販売ともにアトラス。
2003年までのシリーズディレクターはアトラス創立メンバーの一人である岡田耕始が務めていたが、アトラスを退社して独立したためその後はシリーズには関わっていない。『女神転生II』以降の主要作品のキャラクターデザインは「電脳悪魔絵師」の異名を持つアトラス社員の金子一馬が担当している。金子の描く悪魔は現代的に大胆なアレンジがされており、「悪魔」という古来からの伝説の存在を扱っていながら、シリーズから古臭いイメージを払拭している。
作品世界[]
本シリーズは、「悪魔」という異形の存在に関わってしまった人々が、どのように生き抜いたかを描いた作品である。
悪魔に代表されるオカルトと、コンピューターや銃火器といったサイバーが共存している。冒険の舞台は学校といった身近な所に始まり、現代の東京、さらには文明滅亡後の世界や魔界にまで及ぶこともあり、ハードロック調のBGMの多用など、他に類を見ない独特の世界観を持つ。
敵として出現する悪魔(他のRPGで言うところのモンスター)を味方に引き入れる「仲魔」システムや、複数の仲魔を合体させ、新たな悪魔や武器を作り出す「悪魔合体」「剣合体」など、数々の斬新なシステムから熱狂的なファンを持ち、他のRPGにも大きな影響を与えた。
このゲームにおける悪魔は一神教のそれではなく、超自然的な存在の総称である。その分類は精霊や妖精、神など多岐に渡る。
また、善や悪、ロウとカオス(秩序と混沌)など、相反する二つの概念を常に問われ続ける、メッセージ性の強い作品でもある。例えば一神教の唯一神を敵にするようなストーリーは宗教観の強い地域では異色であり、海外にその名を知られる原因である。
他のRPGとは異なり街に入っても敵が出現することがある。
なおタイトルの「女神転生」は、原作となった小説1巻およびOVAにおいてヒロインの白鷺弓子が日本神話の女神イザナミの転生だったことに由来している。シリーズ化された続編・関連作においてはこれは必ずしも当てはまらず、慣例的に「女神転生」の名前を継承している。
シリーズ一覧[]
発売日は最初に発売されたバージョン。機種名の欄にはその後に移植されたものも合わせて掲載してある。
機種略称 FC=ファミリーコンピュータ、SFC=スーパーファミコン、PCE=PCエンジン、MD=メガドライブ、GB=ゲームボーイ、GBA=ゲームボーイアドバンス、DS=ニンテンドーDS、3DS=ニンテンドー3DS、GG=ゲームギア、SS=セガサターン、PS=プレイステーション、PS2=プレイステーション2、PSP=プレイステーション・ポータブル、PS3=プレイステーション3、Xbox=Xbox、VC=バーチャルコンソール、PC88=PC-8800シリーズ、X1=シャープX1、WIN=Microsoft Windows、
- 1987年
- 7月:デジタル・デビル物語 女神転生 (日本テレネット)(PC88、X1、MSX)
- 9月11日:デジタル・デビル物語 女神転生(FC)
- 1990年
- 4月6日:デジタル・デビル物語 女神転生II(FC)
- 1992年
- 10月30日:真・女神転生(SFC、PCE、MD、PS、GBA、Win2000、VC、PSP、PS3)
- 12月23日:女神転生外伝 ラストバイブル(GB、GBC、GG)
- 1993年
- 11月19日:女神転生外伝 ラストバイブルII(GB、GBC)
- 1994年
- 1月28日:魔神転生(SFC、Win2000)
- 3月18日:真・女神転生II(SFC、PS、GBA、Win2000、PSP、PS3、VC)
- 10月28日:真・女神転生if...(SFC、PS、Win2000、PSP、PS3)
- 1995年
- 2月19日:魔神転生II SPIRAL NEMESIS(SFC、Win2000)
- 3月4日:ラストバイブルIII(SFC)
- 3月4日:アナザ・バイブル(GB)
- 3月24日:女神転生外伝 ラストバイブルスペシャル(GG)
- 3月31日:旧約・女神転生(SFC)
- 12月25日:真・女神転生デビルサマナー(SS、PSP)
- 1996年
- 4月26日:真・女神転生 デビルサマナー 〜悪魔全書〜(SS)
- 8月〜1997年6月:真・女神転生 〜光と闇の鎮魂歌〜(プレイバイメール、主催:株式会社M2)
- 9月20日:女神異聞録ペルソナ(PS、Win95/98、PSP)
- 1997年
- 4月4日:偽典・女神転生 東京黙示録(PC98、Win95)
- 10月30日:RONDE -輪舞曲-(SS)
- 11月13日:デビルサマナー ソウルハッカーズ(SS、PS)
- 12月23日:デビルサマナー ソウルハッカーズ 悪魔全書 第二集(SS)
- 1999年
- 6月24日:ペルソナ2 罪(PS)
- 2000年
- 6月29日:ペルソナ2 罰(PS)
- 11月17日:真・女神転生 デビルチルドレン 黒の書・赤の書(GB、PS)
- 2001年
- 7月27日:真・女神転生 デビルチルドレン 白の書(GB)
- 7月27日:真・女神転生トレーディングカード カードサマナー(GB)
- 2002年
- 11月15日:真・女神転生 デビルチルドレン 光の書・闇の書(GBA)
- 12月5日:真・女神転生 NINE スタンドアローン版(Xbox)
- 2003年
- 2月20日:真・女神転生III-NOCTURNE(PS2)
- 7月25日:真・女神転生 デビルチルドレン パズルdeコール!(GBA)
- 9月12日:真・女神転生 デビルチルドレン 炎の書・氷の書(GBA)
- 2004年
- 1月29日:真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス(PS2)
- 5月26日:真・女神転生if...ハザマ編(携帯電話)
- 7月15日:DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー(PS2)
- 8月26日:真・女神転生-20XX(携帯電話)
- 11月4日:真・女神転生 デビルチルドレン メシアライザー(GBA)
- 2005年
- 1月27日:DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー2(PS2)
- 2006年
- 3月2日:デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 超力兵団(PS2)
- 6月1日:ペルソナ3 ザ・ナイト・ビフォア(Win)
- 7月13日:ペルソナ3(PS2、PSP)
- 12月1日:女神異聞録ペルソナ 異空の塔編(携帯電話)
- 12月7日:DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー A's TEST Server(携帯電話)
- 2007年
- 4月4日:女神転生IMAGINE(WinXP)※2008年4月4日に真・女神転生IMAGINEへ改称
- 4月19日:ペルソナ3 フェス(PS2)
- 4月27日:真・女神転生 東京鎮魂歌(携帯電話)
- 4月27日:女神転生QIX ペルソナ3(携帯電話)
- 5月15日:女神転生CHAINING SOUL ペルソナ3(携帯電話)
- 5月28日:真・女神転生 デビルコロシアム 20XX(携帯電話)
- 7月11日:魔神転生 blind thinker(携帯電話)
- 8月30日:デビルサマナー ソウルハッカーズ Intruder(携帯電話)
- 9月10日:女神転生外伝 新約ラストバイブル(携帯電話)
- 10月1日:ペルソナ2 罪 ロストメモリーズ(携帯電話)
- 10月29日:アイギス THE FIRST MISSION(携帯電話)
- 11月26日:ペルソナ3エム(携帯電話)
- 2008年
- 2月26日:ペルソナ アインソフ(Win)
- 7月10日:ペルソナ4(PS2)
- 10月23日:デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 アバドン王(PS2)
- 2009年
- 1月15日:女神異聞録デビルサバイバー(DS)
- 10月8日:真・女神転生 STRANGE JOURNEY(DS)
- 2011年
- 7月28日発売予定:デビルサバイバー2(DS)
- 発売予定:デビルサバイバー オーバークロック(3DS)
- 発売予定
- 真・女神転生シリーズ(3DS)
- ペルソナ(仮):(3DS)
キーワード[]
- 悪魔
- 本シリーズでは、神や魔王といった超自然的な存在は、善悪や思想関係なしにすべて「悪魔」と総称される。全てを「悪魔」と呼びつけるその理由とは、彼らが必ずしも人間の敵であるとは限らないし、また味方とも限らないからである。たとえば、一般的に天使といえば慈愛に満ちた存在のように比喩されることが多いが、一方で神の教えに背く者を駆逐したり、神の敵の軍勢と戦うための尖兵としての役割も持っている。また神の敵とされる存在も、堕落した天使や、異教の神が神の勢力によって貶められた姿であることが多い。このように、一方的な視点で見た呼称のみで悪魔達の善悪を決めつけられることを避けるため、あえて全ての神をも「悪魔」と呼ぶのである(日本では人に害をなす疫病神や貧乏神も「神」と総称するが、このような考え方をそのまま裏返したと言える)。
- 本作品に悪魔として登場する者達は、世界中のありとあらゆる神話や宗教、民間伝承などから引用されている。主な引用元として、旧約聖書、ギリシャ神話、エジプト神話、北欧神話、インド神話、アステカ神話、日本神話などが挙げられるが、怪談話や都市伝説からも引用されており、果ては映画、アニメなどもオリジナル悪魔の元ネタになっている。
- なお、「ペルソナ」シリーズでは人間の使役する悪魔のような存在は「ペルソナ」と呼ばれる。さらに『ペルソナ3(以下『P3』)』『ペルソナ4(以下『P4』)』の2作品では敵として対峙する存在は「シャドウ」と呼ばれ、登場する悪魔の種族も女神転生シリーズの他作品とは一線を画すなど、同シリーズの他作品との差別化がなされている。
- 悪魔召喚師(デビルサマナー)
- 悪魔を召喚し、使役することができる人間のこと。ほとんどの作品の主人公は悪魔召喚師である。
- 日本の悪魔召喚師は飛鳥時代には存在したとされるが、横文字の「デビルサマナー」という言葉が使われるようになったのは西洋文明が日本に入り込んできた江戸時代~大正時代あたりで、これに伴い日本でも西洋の悪魔が召喚されるようになった。大正時代のサマナーである「十四代目葛葉ライドウ」は自身の霊力を用いて悪魔を封魔管に封印し使役していたが、時代が進み悪魔召喚プログラムが開発されると特別な霊力がない者でも、コンピュータさえ使えれば悪魔召喚を行えるようになった(なお、作中で悪魔召喚師という呼び名が初めて登場したのは『真・女神転生デビルサマナー』。それ以前の『真・女神転生』などでは悪魔使いなどと呼ばれていた)。
- 属性(ALIGN)
- 悪魔の行動原理や思想を表したパラメータ。初期の作品では味方としてのみ登場するGOOD、敵として登場するが仲魔にもなるNEUTRAL、仲魔にならないEVILの3属性だった。『真・女神転生』以降はGOOD-EVILと似た概念のLight-Dark軸に加え、秩序(束縛)と混沌(自由)の指向を示すLAW-CHAOS軸も追加された。本作品以降は主人公にも属性が設定されるようになり、ゲーム中の行動や選択肢によって属性が変化するようになった。
- LAW-CHAOS軸は秩序(束縛)と混沌(自由)の指向を表し、主人公や既に召喚済みの悪魔と属性が違いすぎる悪魔を仲魔にしたり召喚不能になる制約を受けるばかりか、シナリオ進行にも深く影響する。また悪魔同士のLAW-CHAOS属性があまりにも離れている場合もパーティに加えることができない。
- Light-Dark軸は創造的-破滅的思考の度合いを示す。作品によっては、Light悪魔は悪魔合体でしか生み出すことが出来ず、Dark悪魔は通常は会話で仲魔にすることができない。
- 悪魔召喚プログラム
- 悪魔召喚の儀式をコンピュータ上でエミュレーションして自動化するプログラム。元祖においては召喚儀式の自動化のみを意図したものであったが、数多のオカルティストによるアップデートを経ており、付随的な機能として悪魔言語の翻訳機能、契約、管理、報酬取引を自動化する機能が付与され、結果として「悪魔使役の総合補助システム」として完成されている。
- これが開発される以前から存在する悪魔召喚術(古典的な「黒魔術」における悪魔召喚)は、高度な魔法知識や霊力が要求され、更に魔法陣の構築や生け贄の準備、召喚の儀式など手間がかかり実戦的とは言い難かった。しかし悪魔召喚プログラムの登場により、コンピュータを扱える知識さえあれば、別段優れた魔法の知識がなくても悪魔との契約や召喚が可能になったばかりか、戦闘中など状況を問わない召喚の実行や、会話による平和的交渉、複数の悪魔の同時使役などが可能になり、召喚士の能力を飛躍的に向上させることになった(なお、現代の悪魔は血肉のような現物支給よりも、現金やMAGを好むらしいので生け贄が不要になったようである)。
- かつて葛葉ライドウの一族は、悪魔を封印する管(くだ)を用いた独自の召喚術で問題解決を図っていたが、基本的に同時使役が可能な悪魔が一体に限られていた(二体同時召喚は高技術)。
- (旧約)女神転生シリーズでは中島朱実、真シリーズではSTEVENと名乗る車椅子の男、デビルサマナーシリーズではヴィクトル、『女神異聞録デビルサバイバー』では主人公の従兄であるナオヤが開発を行っている。
- なお人修羅こと『真・女神転生III』の主人公は、自力で悪魔との交渉や召喚ができる。これは彼自身が「悪魔」だからかもしれない。なお、『女神異聞録ペルソナ(以下『P1』)』および『ペルソナ2(以下『P2』)』シリーズでは「ペルソナ」能力を有しているためか、自力で悪魔との交渉が行える。
- COMP
- 悪魔召喚プログラムがインストールされたコンピュータ。現代の悪魔召喚師の多くが使用している。悪魔召喚プログラムの他に、悪魔言語同時翻訳プログラム、オートマッピングプログラムなども内蔵されているようである。誤解されがちだが、悪魔自体をプログラム化して収納しているわけではなく、悪魔召喚をする際に必要な召喚呪文をメモリーしているだけに過ぎない。扱える悪魔の数は主にCOMPのメモリー容量に左右され、メモリーを増設することでストックできる悪魔の数を増やすことができる。中島朱実はラップトップパソコンをCOMPとしていたが、『2』の主人公はハンドヘルドコンピュータ(後に義手に内蔵)真・女神転生1の主人公は自作のアームターミナル(単眼式ヘッドマウントディスプレイと腕に装着するコンソールに分離されているウェアラブルコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータとも呼ばれていた)、真2の主人公は支給された同様の形状をしたアームターミナル、『デビルサマナー』の主人公と『ペルソナ2』のたまきちゃんは銃を模した特殊なコンピュータ(通称GUMP)を使用しており、使用者によって独自の形態をしている。サマナーによってはパラソルやサックス、メリケンサックなどをCOMPにしている者もいる。『真・女神転生 STRANGE JOURNEY(以下『SJ』)』では米軍開発のデモニカスーツに流れ込んできた悪魔召喚プログラムを使うことによりデモニカスーツ経由で悪魔の姿形が分かり、悪魔召喚などが行えるようになっている。そのため、肉眼では悪魔の姿がよく分からない上にデモニカスーツに登録されていない悪魔の姿は分からない。
- マッカ
- 魔界の通貨。ゲーム独自の通貨記号で表現される。漢字で表記すると「魔貨」。地獄の宰相こと魔王ルキフグスが製造している金貨。『真・女神転生』の大破壊後などのように悪魔の勢力が強い地域で流通しており、こういった場所では人間の金は紙くずに等しい。『真・女神転生』では1マッカは10円相当。なお『SJ』の舞台シュバルツバースにおいては単なる金貨ではなくシュバルツバースに流れている"エネルギーの結晶"という 設定で、これを様々なアイテム等の生成や悪魔との交渉などに使用することになる。
- 生体マグネタイト(
M) - 悪魔が物質界(人間界)で活動するために必要なエネルギー。略してマグネタイトとも呼ばれるが、磁鉄鉱とは別物である。MAGと呼ばれることもあり、単位は
Mで表記される。激しい感情の変動を起こし得る生物が多く持つものとされ、特に人間と悪魔が多く保有する。悪魔は本来肉体を持たない生物であるため、物質界では自らの肉体の実体化を維持するためにMAGを消費し続ける。MAGが失われると徐々に肉体が崩壊してゆき、最終的には死亡に至るため、悪魔は人間を捕食したり、信仰を集めたりしてMAGを吸収する必要があるのである。また悪魔が人間界で実体化する際に十分なMAGが供給されないと、実体化に失敗してスライム化し、手当たり次第にMAGを求めて暴走することもある。エネルギー体のため常態では視覚感知は出来ず、基本的に売買はできない。主人公がどのように持ち歩いているかも不明だが(「偽典」ではCOMPに吸収させている、「IMAGINE」でのアイコンを見る限り、固体化しているように見える、「ライドウ」では召喚者であるライドウ自身のものに依存)、デビルサマナーシリーズではエーテルを触媒として液体状態で保存する技術が存在し、生体エナジー協会という団体が変動レート制で現金取引を行っている。 - 魔人
- 「真・女神転生」シリーズで、特定箇所において低確率でエンカウントする、俗に言うレアモンスター的存在。複数存在する。概要としては「神でも魔でも人でもない、正体不明の存在」といったところ。作品によっては、死神と限りなく同義の存在になったり、災厄の象徴とされることもある。基本的に強敵として現れることが多い。
ゲームシステム[]
本シリーズでは、既存のゲームに見られなかった斬新なゲームシステムが盛り込まれてきた。本項ではこのうち、複数の作品・シリーズに共通するものをいくつか紹介する。各作品・シリーズごとの記事も併せて参考にされたし。
- 悪魔との会話
- 戦闘中に悪魔と会話して交渉することができる。敵である悪魔を仲間に引き込むのが主な目的だが、戦闘を回避したり、時には金品や情報を得ることもできる。悪魔も見返りとして金銭や宝石などを要求してくるため、適切な対応を取らないと、雰囲気が悪くなって急襲されたり、怯えて逃走されたりする。時には貰うだけ貰って逃走する狡猾な悪魔もいるので侮れない。このような駆け引きがこのシステムの面白いところであり、本作品のテーマを具現化したシステムである。
- 仲魔
- 既述の会話等により、敵として出現した悪魔をスカウトできる。仲間になった悪魔は「仲魔(なかま)」と呼ばれ、パーティメンバーと同じように操作することが可能になる。ただし、どんな悪魔でも仲魔にできるわけではなく、主人公のレベル、悪魔の属性などによって制限を受ける。また、一部シリーズを除いてアイテムは装備させられない。
- 悪魔合体システム
- 任意の仲魔2体または3体を「合体」させることで、全く別の新しい悪魔を作り出すことができる。合体は「邪教の館」や「業魔殿」、「ベルベットルーム」、「REMIX STATION」といった特殊な施設で行われる。COMPを用いてどこでも合体が行える作品も存在するが施設で行う場合と比べて何らかの制限がかかる。合体の結果生み出される悪魔は合体する悪魔の種族やレベルなどによる一定の法則によって決定されるが、月齢によって違う結果に変化したり、合体時に「事故」が発生して予定外の悪魔が出来上がることもある。後期の作品では、合体元となった仲魔のスキルを引き継がせたり、仲魔の能力値アップ、悪魔同士の合体以外に剣やアイテム等と合体させることも可能。
- 月齢の変化
- 月齢が潮の満ち引きや動物の行動に影響するように、悪魔の活動も月齢によって左右されると伝説等で語られている。本作品のシステム中にも月齢が存在し、ゲーム中のあらゆる要素(悪魔との交渉成功率、悪魔の能力、合体結果、地図表示魔法の効果、一部イベント等)に影響する。月齢はパーティの移動(『P3』では日時の経過)によって刻々と変化してゆく。なお、『真III』や『デジタル・デビル・サーガ』では太陽の活動周期が月齢の代わりの役割を果たしており、『ペルソナ2 罪・罰』などでは月齢そのものが廃されている。
- AUTOコマンド
- AUTOを選択すると自動的に攻撃コマンドが入力されたことになり、どちらかが全滅するか中断するまで自動的に戦闘が継続される。一度に大量の敵が出現する本作品ならではの機能だが、物理反射(剣のような物理攻撃のダメージを攻撃者に跳ね返す)悪魔というプレイヤー泣かせの罠も出現した。
- プレスターン・バトル
- 敵の弱点を突いたり、クリティカルヒットを出すと行動回数が増え、逆に無効化、吸収、反射されると行動回数が減るバトルシステム。上手く相手の弱点を突けば、一方的に攻撃を続けられる反面、ちょっとしたミスから全滅につながる可能性もあり、緊張感の高さと爽快感の高さが上手くマッチしたシステム。『真・女神転生III』で初めて実装された。この派生システムに『P3』以降の「ワンモアプレス」、『デビルサバイバー』の「EXTRAターン」、『SJ』の「デビルCO-OP」などがある。
- デビルアナライズ
- 悪魔の能力を解析・閲覧する機能。無効化、吸収、反射などの相性を持つ悪魔に対抗するには重要。作品によって、一度倒した敵でないと機能しない代わりに閲覧にターンを必要としないタイプと、初めての敵でも分析できる代わりにアナライズにターンを要するタイプなどがある。強大な力を持つボス悪魔など通じない敵もいる。プレスターンバトルを導入した『真・女神転生III』以降は特に重要なシステムと言える。
- 悪魔全書(デビダス、デビルカルテ、ペルソナ全書)
- 仲魔にした悪魔のデータを登録して図鑑を作成するシステム。能力データ、悪魔の由来を閲覧できる。全ての悪魔を仲魔にする、というコレクション的な楽しみもあるが、実用的な側面もある。一旦登録しておけば、その悪魔と別れたり、合体で別の悪魔にしてしまっても再び全書から召喚して仲魔にすることができる。ただし、その際には相応のコスト(円、マッカ、マグネタイト / 作品によって異なる)を支払う必要がある。強いスキルを継承させたり、レベルアップや合体して強くなった悪魔でもコストさえ支払えば仲魔にできる。
- 属性と相性
- 戦闘時の攻撃は様々な属性で分類される。物理タイプでは剣、ガンなど、魔法タイプでは、火炎、氷結など。効果が対象の相性にされにくい属性も存在する。
- そして、攻撃を受けた時にその対象がどのような反応を示すかは、対象の防御相性によって決定される。その属性が弱点の場合は対象は大きなダメージを受け、即死・状態変化攻撃は命中率が上昇する。その属性が無効である場合は、対象は何の変化も受けない。その属性を吸収する場合、対象の体力が回復する。その属性を反射する場合、対象は変化を受けず、その攻撃を行った者がダメージや状態変化を受ける。特に反射は要注意で、剣攻撃を反射する敵に直接攻撃を仕掛けたりすると、一転してプレイヤーが危機に陥ることになる。
- オートマッピング
- 一度通ったことのある地点を自動的に記録し2DMAPを作成する機能。『真・女神転生』で初めて実装され、遭難率の高かった3DRPGのハードルを低くした。当初は地形が分かる程度の簡素なマップだったが、シリーズが進むにつれ施設やトラップの位置も書き込まれるようになって利便性が増した。
- E.A.(エネミー・アピアランス)インジケーター
- 敵の出現率を表示するゲージ。このゲージが青ければ周囲に敵悪魔は存在しない。敵の出現率が高くなるにつれ、黄色から赤になっていく。『ソウルハッカーズ』ではエネミー・ソナーと呼ばれ、周囲の敵とのレベル差によってゲージの色が変化する。
- マルチシナリオ・マルチエンディング
- ゲーム中に登場する選択肢によって、別のシナリオ・エンディングへと分岐するシステムである。女神転生IIで初めて実装されたが、選択肢によってラストボスが180度入れ替わってしまう衝撃的なシナリオ展開に当時のプレイヤーは大変驚かされた。
- ゲームオーバー
- 人間のパーティーが全員死亡、石化などの状態に陥るとゲームオーバーになる。『女神転生』では次に倒す魔王が現れ、『女神転生II』以降から冥府の川の渡し守のカロンが現れるが、『真・女神転生』のみ三途の川だけという設定である。『真・女神転生III NOCTURNE』では無数の天使が降臨する演出になった。
魔法体系[]
本シリーズでは主に、以下に示す魔法体系が使用されている。なお、これらの魔法体系はFC版『II』から徐々に形成され、『真if...』以降に成立したものであり、FC版『I』にも当てはまるのは稀である。なお、作品によっては細部の名称や効果が異なることもある。
- 基本事項
- 魔法の威力は、語尾に「ダイン」「オン」等の言葉を付加することにより表現される。また、前に「マハ」「メ」等の言葉を付加することにより、全体を対象とする魔法であることを表現する。例えば「ジオ」系で最大威力の全体魔法は「マハジオダイン」となる。なお、作品によっては接頭語と接尾語との間に中黒が入ることがある(例えば「タル・カジャ」など)。
攻撃魔法[]
火炎、氷結、電撃、衝撃、破魔、呪殺、万能の七系列は、シリーズのほとんどの作品に登場している。その他の系列は1~数個の作品に登場するものである。
- 火炎系
- アギ系。炎でダメージを与える魔法。アギ、アギラオ、アギダインの順に強くなる。全体魔法はマハラギ、マハラギオン、マハラギダイン。氷結系と対立。FC版ではボット系。
- 『P1』では4つある精霊魔法の一つに設定される。唯一主要魔法から外れた事がない系統。
- 氷結系
- ブフ系。氷でダメージを与え、動きを封じる(FREEZE)事もある。強さはブフ、ブフーラ、ブフダインの順。全体魔法はマハブフ、マハブフーラ、マハブフダイン。火炎系と対立。FC版ではブリズ系。
- 『P1』では4つある精霊魔法の一つに設定される。『P2』では水撃系に取って代わられたが、『P3』以降では返り咲いている。
- 電撃系
- ジオ系。感電させることによりダメージを与え、動きを封じる(SHOCK)事もある。ジオ、ジオンガ、ジオダイン。全体魔法はマハジオ、マハジオンガ、マハジオダイン。衝撃系と対立。FC版ではカンデ系。女神異聞録ペルソナでは物理魔法に属する。物理学における4つの力の内の「電磁気力・photon」として表記される。
- 衝撃系
- ザン系。衝撃を与えてダメージを与える魔法。ザン、ザンマ、ザンダイン。全体魔法はマハザン、マハザンマ、マハザンダイン、リムドーラ。電撃系と対立。『P1』では物理魔法に属する。物理学における4つの力の内「弱い力・weak boson」として表記される。
- 破魔系
- ハマ系、もしくはハンマ系。聖なる力で悪魔を消滅させる魔法。ハマ(ハンマ)、ハマオン等。全体魔法はマハンマ、マハンマオンとなる。呪殺系と対立。FC版『I』にも類似の形で登場。なお、『P1』においてこの属性の通常ダメージを与える魔法はコウハ系と呼ばれる。通常の人間には基本的には効果がない。FC版では、ハマ、ハッケ、ハキョウ。
- 『P2』では分類が光系であった。
- 呪殺系
- ムド系。呪いの力で対象を即死させる魔法。ムド、ムドラ、ムドオン。全体魔法はマハムド等。破魔系と対立。破魔系と同様、『P1』においてこの属性の通常ダメージを与える魔法はエイハ系と呼ばれる。
- 『P2』では分類が闇系であった。
- 万能系
- メギド系。無属性のエネルギーでダメージを与える魔法。攻撃魔法では唯一魔法反射の影響を受けず、耐性を持つ者も極めて少ない。全体魔法はメギド、メギドラ、メギドラオン。
- 水撃系
- アクア系。高圧の水や津波でダメージを与える魔法。アクア、アクエス、アクアダイン。全体魔法はマハアクア等。『P2』に登場。
- 『P2』では氷結系から主要魔法の座を奪ったが、それ以降のシリーズでは登場していない。
- 疾風系
- ガル系。竜巻やかまいたちでダメージを与える魔法。ガル、ガルーラ、ガルダイン。全体魔法はマハガル等。地変系と対立。『P1』で初登場。
- 『P1』では4つある精霊魔法の一つに設定される。ペルソナシリーズでは衝撃系に変わって主要魔法となっており(『P3』以降では衝撃系自体が登場しない)、『P1』が初登場となっている魔法では恵まれている。
- 地変系
- マグナ系またはテラ系。地震を起こしてダメージを与える魔法。マグナ、マグナス、マグダイン(テラ、テラジ、テラダイン)。全体魔法はマハマグナ、マハテラ等。衝撃系や疾風系と対立。マグナは『P1』で初登場で、この時は分類が地震系であった。
- 『P1』では4つある精霊魔法の一つに設定される。疾風系と違ってペルソナシリーズにも根付かなかった。
- 重力系
- グライ系。重力を変化させてダメージを与える魔法。グライ、グライバ、グラダイン。全体魔法はマハグライ等。衝撃系と対立。『P1』で初登場。
- 『P1』では物理魔法に属し、物理学における4つの力の内「重力・graviton」として表記される。
- 核熱系
- フレイ系。『P1』と『P2』に登場。フレイ、フレイラ、フレイダイン。
- 『P1』では物理魔法に属し、物理学における4つの力の内「強い力または核力・gluon」として表記される。
- 念動系
- サイ系。念動力で攻撃。FC版『I』と『真デビサマ』に登場。
- 『女神転生II』ではザン系は「念動力の衝撃波」という設定だった。その名残か、『魔神転生II』には衝撃属性EXTRAに「ねんどうは」がある。
- 爆発系
- ダーム系またはギガ系。『偽典・女神転生』と『魔神転生II』に登場、前者ではダーム系、後者ではギガ系と呼ばれる。
回復魔法[]
- 体力回復系
- ディア系。対象のHPを回復する。ディア、ディアラマ、ディアラハンの順に強くなる。全体魔法はメディア、メディラマ、メディアラハン。FC版『I』にも類似の形で登場。
- 復活系
- リカーム系。対象の死亡(瀕死)状態を回復する。サマリカームでは対象のHPも完全に回復する。使用者の命を犠牲にして全体を復活・回復するリカームドラという魔法もある。また、戦闘中のみ一時的に不死の者として復活させるネクロマという特殊な復活魔法も存在する。
- 状態異常回復
- 対象の状態異常を回復する魔法には、パトラ系とディ系とに分かれる。
- パトラ系は程度の軽い状態異常を治す。単体魔法はパトラ、全体魔法はメパトラ(ペンパトラ)。それに対しディ系は、パトラ系で治せない物の内、それぞれに対応する状態異常を治す。ポズムディ(毒)、パララディ(麻痺)、ペトラディ(石)等。全体魔法は無し。
補助魔法・その他[]
- 能力増加
- カジャ系。対象の能力を増加させる魔法。タルカジャ(攻撃力上昇)、ラクカジャ(防御力上昇)、スクカジャ(命中率上昇)、マカカジャ(魔法攻撃力上昇)など。デカジャはこれらの能力増加の効果を打ち消す。カジャ系は耐性や魔法反射などには影響されず100%効果がある。単体・全体魔法に分かれている作品もある。他にも、一度に全ての能力を上げるものもある(『P4』ではヒートライザ、『SJ』ではラスタキャンディ)。
- 能力低下
- ンダ系。対象の能力を低下させる魔法。タルンダ(攻撃力低下)、ラクンダ(防御力低下)、スクンダ(命中率低下)、マカンダ(魔法攻撃力低下)など。デクンダはこれらの能力低下の効果を打ち消す。ンダ系も敵の魔法耐性や魔法反射などには影響されず100%効果がある。単体・全体魔法に分かれている作品もある。全ての能力を下げるもの(ランダマイザ)もある。
- 状態変化
- 対象を眠らせるドルミナー、魔法を封じるマカジャマ、魅了するマリンカリン、混乱させるプリンパ等がある。変わったものとして、対象をカードにするシャッフ系、鏡にするキョウ系がある(『真デビサマ』に登場)。
- その他戦闘中の魔法
- 物理・魔法攻撃を反射するテトラカーン・マカラカーン、呪殺系の攻撃を防ぐテトラジャ、仲魔を召喚するサバトマ、戦闘から脱出するトラフーリ等がある。
- 移動中に効果のある魔法
- 3Dダンジョンで周囲の地図を表示するマッパーはシリーズに特有の魔法であり、この存在により他の3D形式のRPGとは一線を画すこととなる(なお、この効果を魔法以外の方法で得ている作品もある)。他には、敵の出現を抑制するエストマ、同じく増加させるリベラマ、地形によるダメージを抑えるリフトマ等がある。
日本国外におけるMegami Tensei[]
女神転生は日本では1987年から始まったシリーズだが、欧米では長らく発売されていなかった。欧米では十字架や六亡星をそのまま使うことや、天使を「悪魔」と呼ぶことに対する抵抗が大きいこと、数々の宗教の神々が悪魔として使われていること、宗教戦争に取られかねないストーリー展開などが理由と言われている。そのため、「Shin Megami Tensei」を冠するタイトルはNOCTURNEが初めてである(とは言えDemiKidsの下には、小さくShin Megami Tenseiと書かれてはいる)。欧米では頭文字を取って「SMT」と略される。また、ヒットラー、ナチスはタブーなため、「ペルソナ2 罪」も発売されていない。なお、英語版では悪魔のことはDevilではなくDemonと表記されている("Devil"では悪の存在である「悪魔」そのものを指すが、"Demon"なら霊のような超自然体を指す呼称であるため、こちらの方が問題が少ないものと思われる)。
発売日 | ハード | 北米版タイトル | 日本国内でのタイトル |
---|---|---|---|
1995 10/20 | VB | Jack Bros. | ジャック・ブラザースの迷路でヒーホー! |
1996 | PS | Revelations: Persona | 女神異聞録ペルソナ |
1999 | GBC | Revelations: The Demon Slayer | 女神転生外伝 ラストバイブル |
2000 12/22 | PS | Persona2: Eternal Punishment | ペルソナ2 罰 |
2003 10/6 | GBA | DemiKids: Light Version | 真・女神転生デビルチルドレン 光の書 |
2003 10/7 | GBA | DemiKids: Dark Version | 真・女神転生デビルチルドレン 闇の書 |
2004 10/12 | PS2 | Shin Megami Tensei: Nocturne | 真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス |
2005 4/5 | PS2 | Shin Megami Tensei: Digital Devil Saga | デジタル・デビル・サーガ アバタール・チューナー |
2005 10/11 | PS2 | Shin Megami Tensei: Digital Devil Saga 2 | デジタル・デビル・サーガ アバタール・チューナー2 |
2006 10/10 | PS2 | Shin Megami Tensei: Devil Summoner: Raidou Kuzunoha vs. The Soulless Army |
デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 超力兵団 |
2007 8/14 | PS2 | Shin Megami Tensei: PERSONA 3 | ペルソナ3 |
2008 12/9 | PS2 | Shin Megami Tensei: PERSONA 4 | ペルソナ4 |
2009 5/12 | PS2 | Shin Megami Tensei: Devil Summoner 2: Raidou Kuzunoha vs. King Abaddon |
デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 アバドン王 |
2010 3/23 | DS | Shin Megami Tensei: Strange Journey | 真・女神転生 STRANGE JOURNEY |
関連商品[]
それぞれのゲームを原作としたコミックやアニメ、OVA、テーブルトークRPG、トレーディングカードゲームなどが発売されている。
外部リンク[]
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